10月も終わりに近づくと、家元では次の軸が掛かることがあります。
「明月一声砧(めいげついっせいのきぬた)」
皎々と照る月を眺めていると、砧を打つ一声が響く。
昔は、堅くなった衣類を柔らかくし、艶を出すために木槌でたたきました。砧はその木槌や石の台をいい、また、それを打つことも意味します。晩秋や冬の夜、女性の夜なべ仕事とされました。
この句は、月が輝き、空気が澄み切った静けさのなかで、砧の音が高く響く情景を感じさせます。
この頃になると茶壺の茶も残り少なくなり、お茶を一服飲みながら秋の深まりを感じる様になります。