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手焙りの藁灰 待合に毛氈を敷き設える(而妙斎宗匠喜寿茶事)
また、これから冬にかけての玄関の仕事として藁灰(わらばい)造りがあります。手焙(あぶ)りや火鉢の灰の上に藁灰をのせます。意匠もさることながら、藁灰を濡らす事によって空気の対流がうまれ、炭に火が熾(おこ)るようになります。 藁は天然忌(9月13日)に庭師へお願いしておきます。稲刈りが終わり、農家が藁を干す時、それをいただき、家元の地下倉庫へ保管しておきます。それを適宜な長さに切るのですが、炉の時期になると、毎日玄関に火鉢を出すので、結構な量の切った藁が必要となってきます。宿直の時や行事のない日中に地下倉庫へ行き、黙々と藁を切るのも玄関の大事な仕事です。また切った藁を燻(いぶ)すのですが、かなり煙やにおいがきついので、日中すると大変なことになります。そのため日を決めるのですが、たくさんの量なので夜遅くまでかかります。
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