家元の茶室には照明が無いところもあるので、懐中電灯を持ち各部屋や茶室の見回りをするのですが、大門から見て不審菴や御祖堂は一番奥にあり、なぜか夏でもひんやりしています。入塾したての頃は月に10日ほど宿直をするので、同じ所を何回も通ると、少しの違いに気が付くようになります。同じことを何回も繰り返し行う、その積み重ねが大事なのです。
また「玄関日誌」と呼んでいる奉書を下折した署誌簿があり、そこに毎日の出来事を墨書きしていきます。歴代の先輩方が書き継いでおり、行事の会記や、その日千家では何が起き、どのようなことをしていたかがわかる、貴重な資料でもあります。宿直担当の玄関はかわりますので、今では少なくなった墨の字には、その人の個性が出るので、読み返すと勉強になります。