それは茶の源、製造、器、煮方、飲み方等を十章に纏めた史上初と言える茶の総合的書物であり、究極のマニュアルでもあります。陸羽はこの著作により茶聖、茶仙、茶神と呼ばれ官位まで授与されますが、これを辞しながら隠遁するでもなく、市中に紛れるでもなく、田園の中に庵を構え、多くの友人と交流し、山を歩き都の良さを楽しむという中庸の生活を営む「中隠の士」を貫いたのでありました。
おわりに 本随想を纏めさせて頂いたおかげで茶を追求した先人達の著作を通して人と茶との長く深い関わりの歴史に思いを馳せつつ今後ともささやかに茶道を進んで行きたいと考えておりますのでお茶を通してのご指導ご厚誼を引き続き頂きますようお願い申し上げます。
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