その後、昭和37年の12月31日まで玄関におりました。大みそかですので、大福茶など元旦の準備を最後まで手伝って、夕刻にお家元をおいとまし、元日には職家として新年の挨拶に参りました。
家の仕事については、私がお家元でお世話になり始めてから、父は少し良くなって、10年間存命してくれました。そのうち2、3年ほどは向かい合わせに座って一緒に仕事をすることができましたので、幸いだったと思います。それと同時に、お玄関でお世話になったことが、私にとって大変貴重な経験となりました。
お稽古人方の前に出ることはありませんでしたが、およそ8年間お家元の空気を吸い、お家元の営みと共に生活し、即中斎宗匠の近くにいることができたことは、大きな財産となっていつまでも残っています。
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