元伯宗旦が、正保3年(1646)2月16日付で、江岑宗左に宛てた手紙に見えることばです。宗旦は「暑かったので(炉を閉じて)風炉にかえましたが、また炉に戻しました」と記しています。手紙の日付は2月16日ですから、今の暦でいえば4月の上旬頃にあたります。温かくなったかと思えばまた寒くなったりして、なかなか春本番とはいかない時期だったのでしょう。
茶の湯では、11月の立冬の頃に炉が開かれます(これを「
開炉」「炉開き」といいますが、炉開きの頃は茶壺の口封を切ってその年の新茶を使いはじめる「口切」の時節でもあり、茶の湯の世界ではおめでたい正月にあたります)。そして5月になると炉から風炉にかわります。つまり、11月から4月までが炉の時期、5月から10月までが風炉の時期と定められています。現在では、いったん炉を閉めて風炉にかえると、寒いからといってまた炉に戻すことはほとんどないと言ってもよいでしょう。