【大意】
「四畳半の茶室には客二人、一畳半(一畳台目)の茶室には客三人」と利休が申された。四畳半に客二人は尤もなことである。
茶室に座る客の人数について書かれた一箇条です。
利休はなぜ、「四畳半には客二人、一畳半には客三人がよい」と言ったのでしょうか。利休は明確な意図をもって、四畳半と一畳半の茶室を使い分けていたと考えられています。四畳半は天下人、豊臣秀吉の御成りをむかえた時など、台子を用いた正式な茶の湯に用い、一畳半は利休自身のわび茶をおこなう時に用いたというのです。
四畳半に客が二人であれば、ゆったりと座ることができます。しかし、一畳半に客が三人の場合、亭主は半畳の点前畳に座りますので、客は一畳分に三人座ることになります。窮屈に思えますが、利休はこうした狭い茶室に亭主と客が膝をつきあわせて同座することにより、主客のこころの結び付きを強くした緊張感のある茶の湯ができると考えたからです。利休のわび茶は、こうした狭い茶室においてこそ実現できたのでしょう。