初夏八十八夜の頃に摘み取った茶の新芽は茶壺に入れて封をし、夏を冷暗所に置いて過ごし、さらにうま味の出るのを待ちます。
立冬の頃になりますと、その茶壺の口封を切って葉茶を取出し、茶臼で挽いて使い始めます。
これを「口切り」といって、茶人にとっては「茶の正月」とも考え、炉開きと合せて目出度い行事の一つといえます。
そして、その頃に催す茶事は式正の茶といって、最も格式の高い催しになります。そこで、道具も目出度さを表現できるものを中心に取合わせて使うことになります。