雪隠全体には、細かな白川砂が敷かれている。この乾いた細やかな白砂を敷くということが、大切な意味を持っている。
上賀茂神社にお参りすると、細殿(ほそどの)とよばれる建物の前に円錐状の砂の山が二つ造られている。立砂(たてずな)といい、神体である神山(こうやま)を模したものである。鬼門にまく清めの砂の起源とされているが、こうした白砂が神と人との中立に有り、神聖な場所を意識する要素となっている。
海に囲まれて生活してきた日本人にとって、海水から造り出される真っ白な塩は、大切な清めの素材であり、雪隠における白砂も海の塩に同義と考えられ、場所を清めるのに大切な材料として扱われている。
武野紹鴎の頃にはすでに存在したという露地の砂雪隠も、本来実用のためであったであろうが、露地自体に宗教的な意味が付加されると、使うことを遠慮するのが建前となって、やがて貴人用とする扱いとなったのかもしれない。
亭主は不浄の場ですらこんなに心配りをして清めているのだから、客もその心をくんで必ず拝見する必要があろう。
このように露地全体が清浄な場であることを更に強調させることが、砂雪隠の大いなる役割である。
|