茶の原産地は中国の西南部雲南省を中心とする地域と考えられています。今でも雲南へ行くと樹高20メートルを超える巨大な茶の木(茶樹王)があちこちに残っています。カフェインを含む不思議な植物である茶の葉は、歴史が書かれる以前からこの地域の人々によって利用されてきたに違いありません。 茶の葉の利用はその後北上して、漢民族の知るところとなります。今から約2000年前、四川省の省都である成都の近くで、茶のことを記した最初の文献があらわれます。それは奴隷との契約という内容で、その奴隷に茶を買ってきて煮るように命じている箇所があらわれます。当時は茶という文字がまだできていなかったので、苦菜を意味する「荼」の文字を使っています。 やがて揚子江にそって茶の文化は東へ進み、こんにちも中国の最大の茶生産地である浙江省を中心に茶の文化が確立しました。大体5,6世紀になると茶の文化は北方にもひろがりますが、大きく分けて北の食文化は飲みものとしての乳酸飲料、主食としての小麦、副食としての肉を基本とするのに対し、南の文化は飲みものとしての茶、主食としての米、副食としての魚という背景をもつようになります。
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