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草庵の茶室になって縁がなくなりました。そのかわり土間庇の空間が生まれました。茶室は壁で囲うことによって、屋外(自然)との関係を断ったのでしょうか。
客は飛石を伝って、踏石に至り、躙口の戸をあけて畳の上に進みます。ここでは庭の飛石と畳が直結されているのです。
そして茶の湯の空間は、茶室だけでなく、外の露地と呼ばれる庭と一体に仕組まれているのです。露地は茶室の中から眺めるための庭ではなく、茶室へ通る道なのです。露地口を入る時から、茶の湯は始まっているのです。腰掛で亭主の迎え付けを待ち、水鉢で手水を使うことも、客にとって大切な行いです。露地はあくまで茶の湯に使う庭であり、露地は屋根がないだけで、いわば青空の茶室なのです。「庭屋一如」の伝統は、ここにも生きています。
利休は露地を「浮世(うきよ)の外ノ道」といいました。茶の湯の空間を世俗から断ち、聖化するための道でした。長い参道の最奥部に神殿のある神杜の構成に通じるところがあります。

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土間庇 どまびさし
上方に屋根あるいは庇がある土間の空間。茶室の前面には土間庇が深く形成される。
Japanese Tea Culture

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