4_1_5.gif

屋内の生活が快くなるにつれ、室町時代には連歌とか茶会生花など室内芸能がさかんになりました。そして唐物と呼ばれ中国から渡来する美術工芸品を収集し、それらを室内に飾ることがたいへん流行しました。それで唐物を飾る場所が必要になったのです。
室内の壁に仏画を掛け、前机に三具足(香炉・花瓶・燭台)をおいて礼拝する風習がありました。やがてその構えを造り付けるようになりました。それが押板です。この押板がまず飾りの場所となりました。
僧侶は書斎に、机を張り出して明かりを取り入れた付書院をしつらえていました。また棚を設けて経巻や書物を収めていました。こうした付書院や棚も飾りの場所に役立ちました。
やがて主たる座敷には、押板、棚、付書院を設けて唐物を飾る座敷飾りの方式ができあがったのです。そして身分の高い人のすわる場所を一段高くする床(とこ)がつくられました。床の上に押板・棚・付書院を設け、座敷飾りをして、客を迎える生活形式、これにもとづいた住宅が書院造りです。平安時代の寝殿造りは、生活の改良を加えつつ書院造りに進展したのでした。書院造りの成立とともに、座敷の文化が生まれました。これが日本的な生活様式の基本となったのです。

文字サイズ調整 小 中 大
 
 
連歌 れんが
鎌倉・室町時代に流行した文芸。十数人が一座をなし、五七五の長句に七七の短句を付けてゆくもの。
生花 いけばな
室町時代には、飾りとして草木を花瓶にたてることを「たてばな」といった。江戸時代になって「立華」(りっか)と呼ばれるようになり、その様式も変化した。
三具足 みつぐそく
押板 おしいた
付書院 つけしょいん
書院造り しょいんづくり
Japanese Tea Culture

前ページ     46     次ページ