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草庵の茶室は、土壁で囲って、窓や出入口をあける構造でした。このような閉鎖的な構造は、日本の建築の伝統と合わないようですが、山村の民家などは土壁の多い閉鎖性をもっております。
茶の湯は「明るさ」、明かりの加減をすこぶる大切にしました。明る過ぎない、ほの暗さを求めたのです。利休はこの明るさこそ茶の湯の空間の命であると、師から教えられていたのです。利休は窓のあけ方、その位置と大きさの決定に心を砕きました。そうした窓の効果を乱さないために、出入口を小さくし、人ひとりが出入りできるだけの潜り、「躙口」を思いつきました。客が入って板戸を閉めれば、窓の働きだけが室内を支配します。紙を貼った障子を透る光は、人の心に深い安らぎを与えてくれます。
茶室は狭くても畳を敷き詰めた座敷でした。それは当時先端的な住まいの文化でした。そこに「いろり」(炉)を切ったのです。炉には竪穴住居の頃から使われてきた伝統的な日常性が宿っています。草庵の茶室は、それらを総合して、土壁で囲い新鮮な空間を創造したのです。

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Japanese Tea Culture

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