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「中立ち」
 客は正客より露地に出て内露地の内腰掛にてしばらく休息します。その間に、亭主は茶席を掃き突上窓を一段と高く開けます。茶室にては、床の間の掛物を巻取り、床の間正面の壁に花入をかけ花を生けます。炉の炭の火の様子(火相ともいう)や釜の湯のたぎることをたしかめ、水指茶入を飾り、濃茶の用意をととのえます。亭主は茶席の用意を終えると、銅鑼や喚鐘を打って客に入来をうながします。
「濃茶」
やがて客は内腰掛から二度目の席入りをします。客が入席を終ると、亭主の半東役は障子の外にかけられていた簾(すだれ)を取りはずし、茶室は一転して明るくなります。ここで濃茶が亭主によって点てられます。「茶事」の眼目はこの濃茶の一服にあるのです。亭主は黒紋付の着物に着替えて点前に出ます。茶室での喫煙は許されず、座ぶとんも使いません。万事緊張した雰囲気の内に一碗の濃茶が客一同にてのみまわされます。濃茶はことに亭主が注意して味や香りの良い品種を用意しているので、先の主菓子と共に濃茶の銘や詰(造った人や場所)について正客は亭主にたずね、亭主の心入れに礼をのべます。  
「後炭・薄茶」「退出」
濃茶の点前が終り、茶入・茶杓仕覆などの拝見(三器の拝見)がすむと、再び炉の火を直し(後炭という)、薄茶を客にすすめ、道具の箱書付なども拝見に出しつつ、薄茶をもって「茶事」は終ることとなります。客は煙草盆・座ぶとんなど整理して返し、そのあと茶室を出ます。客は茶室の前にて、亭主の見送りをうけて一礼をすませ、そのあと露地を歩み、「寄付」へ戻り、亭主のもとを去ります。翌日客の代表は亭主方への客一同の礼を伝えます。「後礼」といいます。

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Japanese Tea Culture

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