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茶の湯に使われる菓子を大別して、主菓子あるいは生菓子と、他に一種干菓子(惣菓子ともいった)があります。正式な茶事では濃茶に主菓子を、薄茶に干菓子をもてなしますが、薄茶のみのもてなしにも、主菓子と干菓子の両種をすすめることもあり、薄茶と主菓子一種の簡略なもてなし方もあります。
主菓子は練切(ねりきり)という甘味も強く量感のあるもの、京都では「こなし」ともよぶものがふさわしく、饅頭、蒸菓子(むしがし)なども時候や歳時に合せた形姿や銘をもつものが使われます。主菓子は正式な茶事では「縁高」の五つ重ねの器に、客一人に一つの器を用い主菓子を真中に盛り、「黒文字」という楊子を客の数だけ添え、客は一本の箸にて菓子を懐紙にとり、菓子を頂きます。
干菓子は「押物または打物とよぶ型を打出したもの」や煎餅に添えて、砂糖を加工した有平糖など2種が用いられるのが通常です。薄茶に用いる主菓子は、冬は塗物の食篭という器、夏には焼物の食篭に盛られるのが一般です。
平素薄茶の一服を手軽にもてなすとき、銘々皿とよばれる小皿に主菓子一つを盛り、黒文字一本を添えてすすめます。干菓子のみでごく簡略に薄茶をすすめることも出来ます。

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こなし
羊羹のようなもの。
有平糖 あるへいとう
飴菓子。南蛮菓子として日本に伝わったもので、砂糖菓子の意味。
Japanese Tea Culture

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