表千家不審菴：静聴松風：茶の湯－公家の茶

しかし、公家社会における茶の湯は、その後朝廷儀礼に準ずるものと認識されていましたが、一方においては個人の趣味としての範疇で捉えられていたようです。そこには時代としての公家たちの交流の制限や絶対数の少なさも影響していたと思われます。その交流の中に文化人としての茶の宗匠たちが存在したことが、現在まで続いていると思われます。
結局のところ、公家の茶の湯は、一家を興すことなく個々人の趣味の範疇で終わり、宗易(利休)のわび茶への傾斜を強める、宗易の茶へと向かわざるを得なかったものと思われます。