伝統文化の発祥が相次いだ室町時代、日本特有の美意識は形成されました。それは、単に形の美にとどまらず、美しさが発露する根源に迫ろうとするものでした。目の前の形や動作を通して、その根底に存在する見えないものを求める心の修養が、いわゆる「道の精神」なのだと思います。茶の湯やいけばなもこの頃に大成し、現在まで脈々と受け継がれてきた、日本を代表する伝統文化です。日本の美意識の結晶は、長い年月を経て私たち日本人の心の礎となり、世界に誇るべき道徳心の根幹をなしているのだと思います。
茶の湯といけばなは「お茶とお花」、「茶華道」など、一対で語られることが少なくありません。一般家庭において、花をいけ茶を点てることは、来客を迎える際に欠かせないおもてなしですし、実際、両方のお稽古をされている方は多くおられます。そうした「一対のお稽古事」の家元同士の交流もまた、昨日今日の世代に始まったものでございません。
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