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私が古稀を迎えた平成18年(2006)、その記念として、家元の講習会場である「表千家茶道会館」が竣工しました。即中斎は「家元とは別に、家元の近くに大勢の人たちが集まって講習会ができるような場所がほしいな」と言っておったのですが、それが実現したかたちになりました。
そして翌年、講習会場の敷地に、三井家から譲り受けていた茶室「前後軒」を再興しました。前後軒は元伯宗旦ゆかりの茶室で、この年は元伯の350回忌にあたる年だったのです。私どもは三井さんと深いご縁を結んできました。先代三井八郎右衞門さんは即中斎から皆伝を受けられるほどのお数寄者で、私も随分とお世話になりました。
おもしろい話があって、前後軒は、はじめ大磯の三井家別邸にあったようですが、それを東京に移築される時、解体をせずにそのまま運ばれたと聞いたことがあります。三井家だからこそ、そうしたことが可能だったのでしょう。
いずれこの前後軒でお茶を一服いただいてみたいと思っています。
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