このたび、表千家同門会米国東部支部は、発足15周年を記念する一連の行事を、2025年春、ワシントンD.C.とニューヨークにて無事に執り行うことができました。
ワシントンD.C.では、初日まず、全米報道界の名門National Press Club にて、お家元が記者会見に臨まれました。その後、同クラブにおいて、東部支部DC地区主催にて市民茶会が盛大に開催されました。
2日目には、米国連邦議会図書館にて350名を超える聴衆を前に、お家元・猶有斎千宗左宗匠が茶の湯の精神と文化について、明快かつ力強く英語でご講演されました。聴衆席には東部支部同門会員であり、2021年にノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎先生の姿も見られました。
私はこの講演を聞いて「オーセンティック」と「アカデミック」という2つのキーワードを見出しました。すなわち、「オーセンティック」とは、畳に正座して一碗をいただくという形を利休以来守り続け、時代の変化に応じて新たな形(立礼など)を加えながらも、その本質を変えないという、表千家ならではの伝統の継承です。そして「アカデミック」は、茶道史、理念の解釈、そして所作の簡素さや無駄のない動きの中に、理知的かつ精神的な秩序を感じ取れるということ。理系出身の私には、表千家の茶の湯が一つの美しい「数式」に見えます。私にはこの2つのワードが表千家の特徴をよく表しているように感じました。
この掛物は、今回の記念を祝して猶有斎宗匠が書き下ろされたもので、議会図書館に正式に寄贈され、永久コレクションとして収蔵されました。これもまた、表千家の文化が国際的な文脈の中で確かに受け入れられつつあることの証左といえるでしょう。
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