【大意】
宗旦は、念を入れ、気持ちを込めてお話しになられた。
3代家元の元伯宗旦は、その子息、4代家元江岑宗左に熱心にお話をされました。その話の大意を記してみましょう。
2代家元少庵は利休に四方釜(よほうがま)をつくってくださるよう頼みました。すると利休は四方釜の紙形を切り、これに「六寸四方」と寸法を書付け、さらに「釜の肩の丸みはよくよく好んだ形にしなければなりません 少へ」と書き添え、花押をしたためました。少庵はこの紙形を表具して掛物にし、できあがった四方釜と対にしていました。
宗旦は、以上の話を鮮明に記憶していて、江岑によくよく話して聞かせたのです。
少庵はこの釜を釜屋弥介という釜師に、利休の紙形どおりの形になるよう釜を鋳させました。しかし、肩の丸みがなかなか思うような形にならず、何度もつくり直させました。ようやく9つめにできた釜が、利休の紙形にたいへんよく似ており、少庵は納得して秘蔵したといいます。利休もこの釜をご覧になりました。