「伊勢物語 筒井筒の段」
いせものがたり つついづつのだん
作者未詳の平安時代の歌物語。歌人、在原業平らしき男性の一代記のかたちをとっている。 第23段「筒井筒」は、井戸の周りで遊んでいた幼なじみの男女が惹かれ合い、成長して結婚する話である。「井筒」をめぐり男女の間で取り交わした歌で知られている。
筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに
くらべこし 振り分け髪も 肩過ぎぬ 君ならずして たれかあぐべき
【歌意】 井筒と背比べしていた私の背も、あなたにあわない間に、井筒を越してしまったようだ。 (男の歌)
あなたと比べていた私の振り分け髪(子供のおかっぱ髪)も、肩を過ぎるほど長くなりましたが、あなた以外の誰のために、結い上げましょうか。 (女の返歌)
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