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薄茶をのむ法を習い、さらに薄茶を点てる、いわゆる点前の作法を学ぶと、やがて濃茶という一碗に数人分の濃く練った茶を点てることを稽古します。薄茶にくらべ、何倍か濃い茶で、くず湯の濃さに等しいとみてよいでしょう。この濃茶をかたまりのないよう、適度の濃さに点てるのには、かなりの熟練を要しますし、使う道具についての知識も点前作法とともに次第に豊かにしていきましょう。
点前の稽古も23年と重ね、濃茶・薄茶も程よく点てられるとなれば、やがて親しい人を客としてもてなし、亭主としてのもてなしやふるまいをしてみようとの意欲が生れてきます。いわゆる茶会の亭主をつとめ、客をもてなしてみたいという心持です。
それには、まず茶室にてに湯を煮たて、濃茶とか薄茶を点てるための「茶の道具」をととのえる必要があります。

まず薄茶の一服をもってする最も簡略な茶会が考えられます。さらに薄茶に添えて極めて簡略な食事をもてなすことから、やがて「正式な茶会」すなわち「茶事」とよばれる、濃茶・薄茶と共に「正式な茶の料理」である懐石を組合せた、最も丁重な茶によるもてなし方が用意されています。そしてこの「茶事」の熟達が茶の湯の稽古としての最高の目標と考えられています。したがって、茶の湯の稽古の目標は「茶会」や「茶事」をもって客をもてなすことといえます。
「茶会」の準備の段階として、庭や茶室の整備・茶の道具一式の吟味(取合せ)・茶の料理を盛る器の取合せ、さらにすすめば茶の懐石を盛るための諸道具(これを懐石家具ともいいます)などをととのえることが必要となります。
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Japanese Tea Culture

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