外露地の北の端に、半坪ほどの小さな建物がある。下腹雪隠(げふくせっちん)である。
不審菴内露地にある砂雪隠(飾雪隠)に対して、実際に使用できる便所である。
今や難解な物であるが、下種瓶(げすがめ)という厠に埋めて使う瓶に、藁むしろを敷いて実際に用を足すように準備しておく。茶事ごとに新しいのと敷き替えるのである。母屋と離れての場所であるから、客に対する配慮であろう。
下腹雪隠の近く外腰掛の左側に、方形の実に立派な塵穴がある。表千家外露地の大塵穴として、夙に有名である。
黒い加茂川石が大きく縁取りに添えられ覗き石となっている。掃き残った塵を落とし込み、竹箸で摘み上げるというのが、元々の使い方であったのか。今も茶事では青竹の箸を一膳落とし込んで添えることになっている。しかも少し枝葉を残しておく。
これから春になると、露地に敷かれた松葉を少しずつ上げていく。その最後に塵穴に残すとも。
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