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寒さも静まり春の陽射しを少しづつ感じる3月。上巳の節句や利休忌に合わせた献立を用いたいものです。汁には白味噌に彩り鮮やかな手毬麩や季節の蓬麩などを。お椀には蛤の澄まし汁を。こちらも昆布出汁に塩。後は貝の旨味だけで十分に感じます。蛤は丁合(ちょうつがい)の所を切り離し、器にしてさっと酒をふり、蒸したほうが柔らかく頂けます。和え物にはネギと赤貝や鳥貝といった貝類のぬたを。また旬の筍を用いて炊き合わせは如何でしょうか。ワカメと鯛の子を昆布巻きと共に鉢として木の芽を添えてだす。 また、精進風とし、若筍を炙り味噌で頂く。一見焼き物に感じますが向付の代わりに。焼物は鰆の白酒焼も良いですが、山芋の摺おろしを海苔にのせ油にて揚げた磯辺巻きはいかがでしょうか。精進料理は生臭を用いられません。料理の肝となる出汁も昆布と茸類といったものからになりますので、コクを出すのにも一手間かかります。
飽食の時代を迎えた昨今。精進料理を、とは申しませんが、食物になった生命に感謝を込め、日常の食事を頂きたいものです。
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