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NHK 趣味悠々「茶の湯 表千家 京に楽しむ 夏の茶」より |
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時季を過ぎたサンタクロースが居残りを続けることは、我が国では皆無だ。
これぞ、日本人の美点だと確信する。
ものごとに区切りをつける。
そしてまったく新たな気持ちで、新しいことを始める。
この切り替えができればこそ、ひとは今日の憂さを捨て去ることができる。
そして「明日は味方」だと信じることができる。
数年前にNHKの番組で、表千家茶の湯の案内役をつとめさせていただいた。まったくの門外漢だったにもかかわらず、である。
「知らないがこそ、茶の湯の真髄に迫ることもできるでしょう」
真髄とは茶の美味さを素直に味わうことですと、あの折り貫名宗匠に教わった。
招いた客に、いかに美味い茶を味わっていただくか。そのためにこころを砕くのが、茶の湯の真髄ですと、貫名宗匠は気負いなく教えて下さった。
貫名宗匠のひとことで、わたしは引きずっていた雑念に区切りがつけられた。
そして真っ新な気持ちで、茶の湯と向き合うことができた。
あたかも除夜の鐘で旧年に区切りをつけ、百八打目の鐘で気持ちを新たに新年を迎えるかのように。
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