袋は茶席の中で主になる道具ではないと思います。掛物や釜、茶碗や茶杓などと同じく、お茶入は主の道具です。それでも袋は必ず茶入といっしょに茶席に出ますから、お互いが魅力を高め合って、どちらの良さも出るようになれば、と心掛けしています。そして注文された方に喜んでいただければと思います。
私の仕事は仕立て屋です。茶入に合わせて大きさをはかり、色や柄を選んで袋に仕立てます。それにはほかのお道具との取合せにも調和し、注文した方の思いにも添っていることが大切です。ですから最近よく、袋師は茶入に添い、ひとに添う仕事やなあ、と思っています。
これからも「添う」ことを大切にしながら精進を重ね、また次の世代へとつないでいきたいと考えています。
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