|
 |
 |

茶の湯の世界で、新しいものが良しとされる茶せん。ほかの茶の道具とは異なり、由緒のあるもの、伝来の名品として今日に伝わる茶せんは、残念ながら一つだに残ってはいないのです。 どのような茶せんが必要とされているのかと試行錯誤を重ねる内に、まず茶の湯の心を知ることが大事だと思うようになりました。丁度その頃、ありがたいことに表千家流のお茶を学ぶ機会に恵まれまして、早や四十年が過ぎます。さまざまなお茶事を体験させていただく中で、お茶を学び、そして楽しむことを知り、一期一会の出会いを通して自分自身が育てていただいたのだと深く感謝しています。 茶せん師として作るだけではなく、茶せんを使う側の立場にもなって初めて茶せんの大事な役目も見えてきたように感じます。暇があれば自分で作った茶せんで、お茶を練ってみる。しなやかで、しっかりとした茶せんに、微妙にこだわりを持ちながら、一子相伝の技を次の代にと継いでいきたく思っています。
|
| |
|
|