1967年に私の発表した論文が、地球温暖化に関する世界最初の貢献だということで、ノーベル賞をもらったわけですが、気候の研究という様な古典物理の類いの業績で賞をもらった人は誰もいない。だから驚いたのです。もっとも、この論文を書いた時は、温暖化の問題がここまで重要になるとは夢にも思っていませんでした。これは私だけでなく、おそらく誰も考えていなかったと思います。当時私がやった様な研究に興味を持っていた人は世界中を見渡しても10人ほどしかいませんでした。それが今や何千、何万人の人が世界中で、この問題を研究しているのです。
ノーベル賞を創設したノーベルさんの遺言によると、人類の幸福、安泰、存続に関わる様な問題の解決に貢献した人に賞を出せ、とあります。今まで一度も出してこなかった気候変動分野を受賞の対象にしたのは、ノーベル賞選考委員の方々が、この問題が非常に大事であると理解したからで、その点は大きな意味があったと思います。
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