摂州(兵庫県)一の谷で敵味方に分かれて共に戦った武将の名を草花に付けたものです。
熊谷草は源氏の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)を、敦盛草は平氏の公達(きんだち)、平敦盛(たいらのあつもり)ということで、両方とも花の形が源平時代の馬上の公達が流れ矢を防ぐために、背に母衣(ほろ)を飾りとして付けていたので、それに似ているところからそうみたのでしょう。 花や葉の様子も一方はいかにも逞しい男の風貌を見せているのに対して、敦盛草の方は花の色や葉の形などを見ても、気品のある美しさを持った平家の公達を思わせるに十分な雰囲気を備えています。
そして両方ともに季節を同じく花を付けるので、人は源平の競い合った時代を想像して名付けたものでしょう。
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