茶の湯の中には様々な方法でその季節感を深く取り入れて表現してきています。その中から花を茶室に活けて、先人たちの表現してきた美意識について色々見てきましたが、今回は少し趣きを変えて、花の後の果実を取り上げてみました。
果実は秋が多く、栗などから始まって、木の実を料理や菓子などの食文化として扱ってきましたが、それを飾ることでその実の持つ季節の雰囲気を楽しもうという趣向です。
京の西、愛宕山(あたごやま)の裏側に位置する水尾(みずお)の里は、冬至の今日此の頃には柚子の香りでむせかえります。
この柚子の実を柚味噌にして味と共に香りを楽しむ、また幽庵漬にするのは、堅田に住んだ北村幽庵(元伯宗旦の弟子)の工夫として伝えています。
そして保存のためならなんといっても代表的なものとして柚べしがあげられます。
こうした柚の香を生活に生かした暮しは長きにわたっています。 |