この石畳もやがて左に折れ、内玄関、本玄関と向かうのである。
この延段は大正10年(1921)に完成した新しい稽古場、松風楼の建築に伴い、新たに整備され玄関へ通う道筋として完成されたと思われる。
門を入った右側に、長屋があり腰掛と井戸、それに板戸の物入れが設えてある。供待と呼ぶ建物である。後方はやはり背の高い樫の刈り込みがそびえている。
道中での足下のほこりを落し、衣服をあらため座敷に上がる準備をしたことであろうか。
また数名が座れる腰掛は、来菴者が手荷物を調えたり供が待つ処である。稽古人が早朝この場所に座り、席の開くのを心静かに待つ姿は、昔も今も同じであろう。
千家を訪れたら、この場所に腰掛けていただきたい。なぜか心がとても静まる場所である。
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