家元の稽古の「三八稽古日」は、12月13日が毎年最後の稽古日であります。碌々斎筆二行「先今年無事芽出度千秋楽」が床に懸けられます。 この日御所では「事始め」の日であります。正月を控えてその準備を始める日であります。普段は御所の女官は袴を着けませんが、この日は掃除のために袴を着けます。御所出入りの餅屋「川端道喜」では、これに因んで、こなしの台形の形をした菓子を造り納めたといいます。この台形は女官の袴の腰の形に由来するといいます。 家元の稽古仕舞いには、いつもの菓子ではなく、「ぜんざい」が出されていました。これは宗匠の奥様自らの手作りでありました。稽古人達もさぞかし幸せであったと想像されます。少なくとも太平洋戦争までは、続けられておりました。
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