5月初旬には、家元の門内に高い棹が立てられ鯉のぼりが舞います。宗匠のお孫さん達の節句を祝ってのことです。伝来の5月人形も飾られます。その内で覚々斎拝領の「糸兜(いとかぶと)」は、背丈ほどもあり、特筆すべきものであります。
粽もそういった折りには、菓子の一つとして用いられます。本来茶の湯の菓子は、すべて食べ尽くせるか、それに近いものでなくてはなりません。茶の湯の菓子として注文したものは必ずそうなっています。客も残すことなく持ち帰るのは、禅的な生活習慣から来ています。粽も沢山の笹をほどいて袖に一杯の笹の葉がたまる様では、風情がありません。すべて取り去ってしまうと、折角の粽の趣がなくなります。従って笹をほどき、最後の1枚のみ残し、余分の端を取り去って器に入れます。食べやすいことも亭主の配慮の一つです。
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