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4月はやはり、花見を楽しむ懐石はいかがでしょうか。桜の下にて点心を持ち出すのも醍醐味の一つ。野点の(のだて)一服を味わうのもよいでしょう。
春先より貝類が旬をむかえます。鳥貝をこ軽く炙り、黄身酢にて頂く向付。あるいはサヨリの細造りと大葉をあえて三杯酢にて頂く。椀物も卵豆腐や翡翠色のそらまめ豆腐、うすい豆腐といった山の物を椀種に用いた清(すま)し仕立はいかがでしょうか。炊合は大根を使い炊いた蛸の柔らか煮。添えに蕨やウドを付けてもいいかもしれません。肴にはホタルイカの塩辛。八寸の山の物は、こごみの素揚げ、海の物は子持ち昆布。子孫繁栄に繋がることから正月に用いられがちですが、本来の旬はこの春になります。
茶道の精神の基本は「侘び」であり、絢爛豪華には当てはまりませんが、花の香りを衣に纏うこの時期、利休もかつて行った零(こぼ)れ桜での茶会を楽しむのも一興かもしれません。花弁が盃に入る古の詩人達の楽しみが浮かび上がります。
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