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茶の湯の歳時 中秋
八角菊蒔絵盆 二十ノ内 一閑・浄益合作
八角菊蒔絵盆 二十ノ内 一閑・浄益合作
夜空を満月が彩る中秋の名月。秋も半ばを迎える頃となります。本年は人類の長年の夢、アポロ計画により月面着陸が行われてから半世紀。歳月の営みを感じる方も多いのではないでしょうか。
月を眺めながら茶を楽しむ。これもお茶ならではの醍醐味。秋を楽しむ為には月と共に菊を愛でる。今年は重陽と名月が近い為(中秋は9月13日)、いつもと少し違った趣向でもてなすのも一つかもしれません。

 うかゝゝと さけのむときハ おふゑ山 
   またうかゝゝと たのしみの御茶

こちらは樂家3代道入作 赤茶碗 酒呑童子に添えられた歌になります。覚々斎が茶碗に漆で朱書きを施され、箱に記されています。「うかうかと」の情景に、酒を楽しむ事とお茶を飲む事を重ね詠われたのかもしれません。
妙心寺の蘭叔玄秀(らんのしゅくげんしゅう)の『酒茶論』という著書があります。酒と茶の徳について優劣を語り合う内容が書かれています。後に『酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき)』といった作品にも影響を与えました。歳時を楽しむには茶や酒を用いる。古来より名作として残る漢詩などが、そのような場で生まれてきたように感じます。
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