茶の湯の伝統
茶の湯は日本独自の文化です。日本に喫茶の習慣が伝わってからしばらくの間はただ茶の味を楽しむだけでしたが、やがて茶を飲むための道具やあるいは茶の点て方やまた点てる場所などが特別にしつらえられるようになって、こんにちの茶の湯の原型が誕生しました。特に茶の湯の思想として、わびという中世的な美意識が加わることによって、いわゆるわび茶が発展したといえます。
茶の湯は伝統文化であると言われていますが、その発生時においては、ことごとく新しいものを創造した画期的な文化だったと言えます。例えば、従来の日本の建築にない茶室という新しい空間をつくったり、あるいはまた茶の湯のための茶碗花入を創作するなど、初期の茶人たちの創造性には目を見張るものがあります。江戸時代を通じて、こうした茶の湯の伝統が茶の家によって伝えられてきました。しかし、そのなかにあっても時代の要求に応えて、新しい道具や点前あるいは茶の湯の考え方を創造しながらこんにちに至っています。
今、茶の湯を稽古するということは、5年あるいは10年の稽古を続けるその長さにすべてがあるのではありません。実はその稽古をつくりだした600年の茶の湯の歴史が背景にあるのです。
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Japanese Tea Culture
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