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自分が作っているものは芸術品とも美術品とも思っていません。お茶を嗜み、また楽しむための「用」があるお道具なのです。私はそれを作る職人であり、複雑な金工の工程をとり纏めるプロデューサーなのです。
お茶の道具としての「用」には必ず「美」が加わっていなければなりません。金属を使い「用の美」として使い易さとプレーンさを考慮して、贅肉をそぎ落としたぎりぎりの美しさを常に求めてきました。
金属は地味な素材のものであり、脇道具であって表立ったものではありません。砂張(さはり)の花入に花一輪が生けられ、干菓子盆に四季折々の菓子が盛られた時、はじめて茶道具としての美しさが生き、冷たく固い金属に命を吹き込んだという思いがしみじみします。金属工芸は、材質本来の美しさ、線と面の美しさを出すことに尽きます。
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中川淨益(なかがわ
じょうえき)氏 |
千家十職 金もの師
大正9年
10代淨益の長男として、京都に生まれる
昭和11年
京都市立第二工業学校
(現・伏見工業高校)卒
昭和16年
21歳で千家に出仕、11代淨益
として家業を継ぐ
平成20年
1月15日にご逝去されました
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中川淨益家のこと |
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