きものの仕事の延長線上に、世界の民族衣裳の研究がひろがってゆく。
きものは、日本の民族衣だが、世界中の民族に伝統的な服がある。
私の旅は、パリやローマではない。飛行機やバスをのりついで訪ねる旅は、地図に名前ののっていない町や村だ。
女達が、3ヶ月10ヶ月もかかって刺繍した服や、10ヶ月もかかって織ったもの、素晴らしい工芸の世界だ。
1991年、その時の旅は、ケニア・タンザニアにくらす、マサイ族の取材だ。ナイロビから飛行機と車をのりついでマサイマラへ。
その日は、テントロッジ。フアスナーのみ。
動物保護区の中。目の前に、キリマンジャロ(5,895m)が雪をいだいている。
夜明け。
私のロッジのテラスで、キリマンジャロを見ながら、朝食。私の世界の旅は、必ず、アルファ米(乾燥米)と緑茶のティーバックを持参する。
アフリカでも、アラビア半島でも大きなビーズのネックレスをつけている。ケニアでは赤・白・水色。 これにも意味がある。
白は牛乳、赤は血、青は雨期の終った青い空。あと三枚の風呂敷のようなカンガで身をつつむ。
「いつから、こんな衣装があるの?」 おばさん達はみな、「知らない」と言っていた。
日本では、ビーズというと、子供のおもちゃの感覚だが、アフリカでは、ビーズは工芸として、アートの世界だ。
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