小学生の頃、学校へ通う路の途中に、「ろーじ」と呼ぶ細い道があった。京都の通りは碁盤の目になっているから、角角を通っていけば目的地にたどり着くことができる。
しかしこの「ろーじ」をぬけると早道をした気がするのである。実際は同じなのだが、それが「ろーじ」の不思議なところである。
普通の道路を歩くのと違い、家と家に挟まれた特別な場所であり、何か中から飛び出してこないかしらとか、他所の家の中に足を踏み入れているような不安な気がして、自然に足早になってしまう。結果早く目的地に着けると錯覚をしていたのだろうか。
ここでいう「ろーじ」は「ろじ」のことで、京ことばなのか幼児語か、伸ばして「ろーじ」と言った。
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