茶の銘と同様に菓子についても菓子の銘も重く扱われることが一般的であります。しかし大抵の場合、それは菓子銘ではなく菓子商の商品名であります。菓子商の商品を識別するための名前ではなく、茶人の亭主の意向にかなったものでなければなりません。菓子銘にはそれを告げることにより、趣向に膨らみをもたらすものでなければなりません。
「水牡丹」は菓子の趣にまたとなくかなった銘でありますが、実は何の花であるか確定出来かねます。蓮か睡蓮がその候補にのぼります。それぞれの花の異名にも「水牡丹」は現在のところ見当たりません。心当たりの異名等がおわかりの方はご教示いただきたく存じます。こういった含みのあるもの、茶の湯の巾を広げるものであってこそ、菓子に銘が告げられる意味があります。
モネの愛した睡蓮も洋の東西を超えて趣を伝えるものがあるのではないでしょうか。
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