亀屋伊織の、黄色い有平糖を単に一ひねりしただけの干菓子。これを雀と気付く人は稀でありましょう。私も初めて箱を開けて、これを見たとき戸惑って、配達のご主人に「これは何ですか?」と問い、あとで恥ずかしい思いをしたことがあります。せんべいの五角形の鳴子が添えられています。先の尖った有平をくるっと、ひと捻りして、その両端が羽であります。いくつか集めて盛り合わせると、何となく、たわわに稔った田んぼに遊ぶ雀に見えてきます。
この頃、菓子でも香合でも、写実的にきっちりと作ったものが、「かわいい」と喜ばれます。あまり具象的な形では、それでお仕舞であります。そのものではなく、そのものの気分を写した物の方が、ふくらみを持って、余韻を残してくれます。
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