如心斎祥月命日は8月13日ですが、暦が太陽暦になってから一月遅れで9月13日に「天然忌」が例年行われます。残月亭には如心斎好の富士釜が江岑好の鳳凰風炉にすえられ、竹台子の中央に置かれます。これが如心斎好の「竹台子一つ飾」です。珠光好の格の高い竹台子に、風炉が侘びた中置の如く中央に置かれています。非常に大胆な発想といえます。中置は風炉も名残となり寒さを感じるとき少しでも客に暖かい様に客に近づけるといいますが、まだこの時分は暑さも残っております。一般に暑さ寒さも彼岸までといいますが、千家では暑さは天然忌までといいます。事実非常に暑い年がほとんどです。侘びた中置とは時候的にも趣向的にも異なっております。如心斎を偲んで如心斎好が当日の飾りとなっています。その後、千家の稽古場では天然忌のあと普通の置き方の大板が使われ、10月の中頃から初めて中置となります。名残の侘びた趣向を代表するものであります。
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