田んぼに立てられたかかし。収穫の秋の趣をユーモアに伝えてくれます。近年、果物も野菜も、栽培技術と保存技術の向上で年中入手出来る代わりに、季節感が全く失われてしまっています。お米についても、遙かに収穫時期が早まり、収穫を喜ぶ趣が、かえって間延びしてしまっています。多くの食物が季節感を失う中、天然で捕獲された魚類は本来の季節を保っているものが多くあります。例えば「かつお」は初かつおにはじまり、三陸などの北へと漁獲の場所を変え、味にも変化が見られます。秋には戻りかつおとなり、脂がのってまいります。
茶の湯は純粋芸術とは違い、日常の生活を基点にした文化です。日常が変われば、応じて茶の湯も変化せねばなりません。日常を大事にすることによって、「おもてなし」である茶の湯が、真に生きてきます。
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