台形をした粉なし製の菓子であります。茶の湯に決まって用いる菓子ではありませんが、御所出入りの川端道喜が事初めの日に御所へ献上した菓子であります。御所ではこの日に正月に向けて煤払いを始めるといいます。この日のみ、御所の女官達が袴を着けて掃除をするといいます。袴の後ろの腰に当たる部分は厚紙などで出来ていて台形の形をしています。この形が袴腰の菓子の原型になっています。川端道喜は御所の京餅座の統括のみならず、作事奉行を勤め、御所の修復に私財を投じた経緯があります。献上の餅や粽を納め、菓子の粽も花びら餅も、その延長上にあります。菓子は単に茶の湯のものではなく、貴族を含めた生活の伝統の上に成り立っています。
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