いのこの歴史は茶の湯より古く、『源氏物語』にも登場します。茶の湯の習慣ではなく、寒さも増してくる頃、こたつを何時使い始めるかが問題であります。日付の干支の内、亥の日を選んで使い始めます。当時の環境からすれば、火の用心が極めて重要であり、庶民には日を選び、遅らすことにより節約の意識もあったと思われます。経済的に恵まれた貴族や武士は旧暦10月の初めの亥の日を待ちわびて、こたつをいれますが、庶民は節約して出来るだけ遅らせます。
茶の湯の記述には、開炉・初風炉には規定はありません。もっと気候や主人の老若などの条件にもよります。柚子の色が黄ばむ頃、人の吐く息が白くなるという表現を使います。規則が人を拘束するのではなく、茶人の感性が炉を開く楽しみを選びます。
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