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吸江斎好 底井金釣瓶
吸江斎好 底井金釣瓶
箱書
箱書
ぴちょん。
夏の暑い熱気の中ただこの水の音が響くだけで、涼しさを感じないでしょうか。ぴちょんぴちょん。8月のこの時期は外に出て打ち水を撒かれる方も多いと思いますが、その音とは違います。静寂の中に響く、水の音。暑さの中の楽しみ方の一つに感じます。

筒井つゝ ゐつゝにかけし ものなれハ
   振りわけかみの こゝちこそすれ

吸江斎が詠まれた歌になります。この歌は家元内にある井戸の釣瓶を水指に見立てた、底井金釣瓶水指の箱書付に書かれています。『伊勢物語』の筒井筒の段の、「筒井筒井筒に…」と「くらべこし振り分け髪も…」の二首の本歌取りになります。過ぎ去りし時に対しての想いでしょうか。或いは対句同士の本歌取り。そこには自身に寄り添ってきた何かに対する想いが、含まれるのかもしれません。この様に茶道具には「見立て」により生まれたものが多々あります。捕らえた魚を入れる魚籠( びく) も花篭に。
吸江斎はこの釣瓶に何を見立てたのでしょうか。暑い最中、この唐金の水指を眺め、そこより汲まれる水、その折の音。涼を楽しまれる一つの表現ではないでしょうか。この釣瓶の水指、後年惺斎が、やはり同じく庭の井戸の釣瓶を水指に見立てたものが、家元に伝来しています。
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