茶花の素晴らしさの一つは、いうまでもなく季節感にあります。
正月は結び柳で、くり返す喜び、再会の喜びを愛でる。春は、色とりどりの花百輪。初夏には固い蕾の大山蓮華。盛夏には木槿(むくげ)を一輪。残夏は、名残の花々。秋には照り葉で紅葉の山。冬は椿、椿、椿・・・・・・。
もっと素晴らしいのは、名前でしょう。
椿一つとっても、白玉、曙、侘助、初嵐、菊月、白西王母、白八朔、加茂本阿弥・・・・・・その数は200、いや300あるといわれます。
木槿も面白い花。京都では祇園守りと呼ばれる同じ木槿が、東京では大徳寺と言われます。真っ白いものは、遠州木槿。宗旦木槿は中が赤く、底紅とも言います。
名前があるのは、花だけではありません。お道具に銘があるのが、実に楽しい。たとえば釜に「姥口」。茶碗に「好きずき」。茶杓には「寝物語」なんていうものもある。一体どうして、この名前がついたのか、想像は尽きません。その個性はまるで、人です。人格なのです、花もお道具も。 |