今でもお家元の「清中会」というお稽古の会にうかがっていますが、その中でいろいろと感じることがあります。
たとえば、お茶室では、お湯がたぎるかすかな音の中で、向き合いながら語り合ったり道具を拝見したりしますね。私の周りはいつも賑やかで、音がある中で舞ったり、振り事をしたりしていますから、普段と違うお茶のお稽古の静かな時間がとても貴重だと思っています。その静けさが一つの良さだと思います。
私は稽古場で稽古をするのが好きな性質で、舞台などで人様にお見せするより、家のほうが思い通りに出来ていいなと思うのですが、やはり独りよがりではなく、時を共有するということがないと芸能には意味はないのです。そういう点でも、お茶とつながるものがあると思います。
お茶の道具でも、長い時を重ね、人の手を通して、守られてしかも使われています。舞踊に使う衣装や小道具にしても、使われてこそ価値があると思います。ものの価値は、人を通して伝えられるべきものであるということも芸能に通じることではないかと思います。
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