私たちのお稽古では、「鏡を見るな」と言います。自分の姿を見てはいけないと言うのです。見た目の美しさだけにとらわれてはいけないということです。
祇園の人たちは、それぞれの美しさを磨かなければなりません。その中で舞を勉強するということは、形だけを学ぶのではありません。外側から見た事ばかりではなく、まず座って、基本の姿勢を身につけて、それからどう動くか、ということになります。もちろん見た目の姿の美しさも必要です。形がおかしかったらやはりおかしいわけですから。そして自然さも必要です。お献茶などを拝見しましても、宗匠方がなさっている動作は無駄なく自然に見えます。そこまでのご修行は大変なものだと思います。舞の動きでもそうですが、なにも不自然さがないというのは大切なことです。
芯のところに、習い順を大事にするという考えがあります。一足飛びに先へ行けば、どこかにひずみが出てきます。順番に段階を積んでゆき、だんだん奥へ行くということです。階段を上るように、一歩ずつ進んでゆく、というのは一番大切なことのように思います。それが祇園のお稽古だと思います。
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