表千家不審菴：静聴松風：竹心［黒田正玄氏］

黒田家は、越前黒田庄の武士の家でした。西軍に加わっていた初代の黒田正玄は、関ヶ原の合戦の後大津に居を構えました。小堀遠州と交流があり、熱心に稽古に通っていたため「日参の正玄」と呼ばれていたそうです。そのころすでに柄杓を生業としておりました。小堀遠州が柄杓の寸法を示した書状が我が家に伝わっています。柄杓作りは、秀吉から天下一の称号をもらっていた一阿弥から手ほどきを受けたようです。なぜ柄杓だったのかというと、これは私の想像ですが、初代はやはり武士でしたので、刀と同じ「シノギ」などの名称を持っており、扱い方も刀に似ていた柄杓を選んだのではないかと思っています。その後、小堀遠州の推挙で将軍家の柄杓師となりました。
晩年は京都の瓜生山(京都市左京区北白川付近)に草庵を営んで、近くに住む石川丈山と親しく交わり過ごしました。石川丈山から「大津　茶ひしやく屋　正玄」の暖簾(のれん)を書いてもらい、現在に伝わっています。